100%人工種苗

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天然資源に依存しない、新たなブリ養殖のスタイルを確立

黒瀬ぶりの写真

1.ブリについて

ブリは主に、日本近海である北西太平洋に生息し、古来より日本人にとって重要な食用魚であり、各地の文化や産業に深く根付いています。日本国内では、成長に伴って呼び名が変わることから、『出世魚』と言われ日本人にとって縁起の良い魚として親しまれています。同属のカンパチ、ヒラマサと性質が異なり、脂の乗った身質が特徴で、日本では寿司や刺身の他に、焼き物や、煮付けなど幅広い料理に使われています。

また、日本の魚類養殖の中で最も生産量が多く、日本国内はもとより海外へも広く輸出され、「Hamachi」の名で広がりを見せています。


2.人工種苗の取組

ブリの養殖は天然の稚魚を育てることから始まります。毎年2~3月に東シナ海で産卵し、孵化した稚魚は、浮遊する藻に付着し日本近海に流れ着きます。その稚魚を採捕し、生簀に入れるところからブリの養殖は始まります。しかし、天然の稚魚の漁獲量は安定しているとは言えません。天然の資源量に依存するすることは、漁獲量によって供給量が左右されることを意味します。天然資源への負荷軽減、市場への安定供給を目的に黒瀬ぶりは全て人工的に採取した卵から育成しています。これにより、天然の資源量に左右されない、安定したブリの供給を実現しています。

ブリの稚魚が泳いでいる様子

陸上養殖施設

3.人工種苗の取組(陸上養殖施設)

黒瀬ぶりの生産は、鹿児島県の種苗生産施設からスタートします。天然の稚魚と異なり、黒瀬ぶりは稚魚期を陸上で過ごします。稚魚の生産・管理は専門知識を持ったスタッフが行い、繊細な卵、稚魚の管理にあたります。この陸上施設で親となる魚の育成管理、稚魚の餌となる生物餌料の生産を行うことで、本来海中で行われている海の営みを陸上で再現し、黒瀬ぶりの稚魚を安定供給します。

この陸上施設で海の環境に耐えらるサイズまで育成され、黒瀬ぶりを育成する各漁場へと運ばれ、自然の海での養殖が始まります。


4.人工種苗の取組(親魚育成)

鹿児島県の陸上養殖施設では、黒瀬ぶりの親になる魚の育成も行います。育成中の黒瀬ぶりから優良な形質を持った個体を選抜しています。黒瀬ぶりを生産するうえで、親になる魚の存在は非常に重要であるため、親となる魚はニッスイの研究施設でも同様に育成しており、安定した稚魚生産が行えるよう万全のリスク管理がなされています。親になる黒瀬ぶりは、全て個体識別管理がされおり、ニッスイの研究所では遺伝子情報を管理しています。これにより、黒瀬ぶりの出生から飼育記録といった高度な履歴追跡を実現しています。人工種苗の黒瀬ぶりから、黒瀬ぶりが誕生する完全養殖を実現しています。

親魚が泳いでいる様子

人工種苗の施設の様子

5.人工種苗増産

黒瀬ぶりの人工種苗比率は2022年度出荷より人工種苗100%を実現しました。天然の資源に依存しない生産体制を確立させるため、人工種苗生産比率の向上に取り組んできました。採卵技術の向上、採卵時期の分散、陸上施設拡充等の様々な取組みを経て、黒瀬ぶりは完全な人工種苗化を達成しました。天然の資源に負荷をかけずに再生産を繰り返すことができる新たな養殖スタイルに日本で初めて到達しました。

天然稚魚の漁獲状況に左右されない、安定した生産量を確保できる基盤が完成したことで、マーケットの需要に最大限応えられる体制が整いました。


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