持続可能な事業経営のための環境配慮
1.高摂餌飼料による育成
黒瀬ぶりの飼料は、稚魚から成魚まで、固形の配合飼料を与えています。固形の配合飼料は、他の飼料形態よりも摂餌率が非常に高いという特徴があります。摂餌率が高いため、漁場環境を汚染する要因の一つである、食べ残しによる海底への蓄積を大きく軽減することができます。食べ残した餌は、海底へ沈み蓄積を続けることで漁場環境を少しずつ蝕んでいきます。このブリにとって最良の環境を維持するため、食べ残しが少なく、ブリの成長に合わせた栄養がコントロールされた飼料を与えることで、環境が健全に保たれ、品質の高い黒瀬ぶりが育ちます。上質な飼料が、漁場環境とブリの品質を支えています。
2.漁場の環境モニタリング
黒瀬ぶりを育てる漁場では、ブリ養殖によって漁場環境に悪影響を与えていないかを定期的にモニタリングしています。食べ残された餌が海底に沈殿すると、海底の堆積物の成分に変化が生じます。その変化を捉えるため、定期的にモニタリングを行い、黒瀬ぶりの育成が漁場環境へ悪影響を与えていないかを確認しています。これまでのモニタリングの結果では、定められた基準値を大きくクリアしています。黒瀬ぶりの養殖事業が現在使用している漁場環境に与える影響は極めて少なく、良好な環境が保たれていることが客観的に証明されています。(※調査は、海底の堆積物を採取し、外部検査機関で成分分析を行っています。)
3.プラスチック削減の取組
昨今、海に投棄されたプラスチックが微細に分解されたマイクロプラスチックが世界的な問題となっており、石油製品の洋上利用削減が求められています。黒瀬ぶりの育成を行う漁場でも、発泡スチロールを使用した養殖資材の撤廃を進めています。散逸性の高い発泡スチロール主体の資材からより強度の高い樹脂製資材への切り替えを進めています。
また、黒瀬ぶりを商品として出荷する際、一部のお客様と発泡スチロールから再生可能な段ボールへのパッケージ変更の試験的取組を進めています。生鮮魚の輸送は発泡スチロールを使用することが日本では主流ですが、より踏み込んだ取り組みを進めることで環境へも配慮した黒瀬ぶりの生産に努めています。
4.大型生簀導入による育成の効率化
黒瀬ぶりを育成する生簀は、これまで10メートル角の生簀を使用していましたが、現在は国のサポートを受けながら直径30メートルの円形生簀の導入を進め、現在9基の導入が完了しました。この生簀は、これまでの10メートル生簀に比べ容積が18倍と大きく、より多くの黒瀬ぶりを一か所で育成することができます。現在出荷している黒瀬ぶりの25パーセントはこの生簀で育成されたものです。この生簀を導入することは、魚や洋上作業を集約化し、燃油の使用量削減に繋がります。養殖の効率化に努め環境負荷削減に取り組んでいます。
5.積載効率向上への取組
黒瀬ぶりの海外輸出への取組は生鮮品だけでなく、冷凍商品でも進んでいます。冷凍商品の輸出は海上輸送を行っており、コンテナの積載効率を高めることが環境負荷の削減に繋がります。黒瀬ぶりは2017年初めて20フィートコンテナでの欧州輸出を開始しました。当時の商品パッケージは発泡スチロールでしたが、2018年にパッケージを段ボールに変更し積載効率を高めました。その後も、国内での試験を重ね、2022年には、パッケージのサイズダウンを行い、積載効率を高めることに成功しました。自社倉庫の保管能力増強などのこれまでの取組により、開始当時よりも1回当たりの輸出量は約4倍にまで向上しました。コンテナの容積を最大限活用することで、航海数を削減しています。